異業種のコラボレーションで取り組む「乳」の価値探求・啓発の取り組み
岡山市立浦安小学校で実証授業を実施

オハヨー乳業

オハヨー乳業は、通信教育大手のベネッセコーポレーションとともに、全国の小学校にむけて乳の価値探求や啓発につながるプログラムの配信を開始しました。オハヨー乳業とベネッセはともに岡山に本社をおく企業ですが、事業レベルでの協業は今回が初の取り組みとなります。

全国展開に先駆けて、岡山市立浦安小学校の5年生のひとクラスを対象として実証授業を開催。子どもたちは数名毎のグループとなり、「これからの食料生産と私」というテーマのもとで、未来の酪農・乳業について自ら調べ、情報を整理し、提言します。2月10日には最終発表会が開催され、酪農家を代表してJAおからくの檜尾組合長、ベネッセコーポレーションの岩瀬会長兼社長、そしてオハヨー乳業の藤本社長が出席しました。

オハヨー乳業は、2022年より岡山県内の小学校を中心に酪農や乳業を学ぶ出張授業を開催してきました。原寸大の乳牛の模型を用いた搾乳体験や、牛乳の製造工程・栄養成分、そして酪農家やメーカーの思いを盛り込んだ授業を受けた児童・生徒は累計3200人以上になります。受講後は牛乳・乳製品への理解度・好感度も高まり、実際に給食牛乳の飲み残しが改善するといった成果が出ています。学校長の間でもクチコミが広がり、毎年様々な学校から実施要請を受けるほど高い評価を得ている取り組みです。

しかしながら、出張授業はスタッフからの一方的な説明になりやすく、受講者が児童ということもあり波及効果も限定的でした。さらに有志社員によってスタートしたため、活動の広がりや事業への貢献、費用対効果が課題になっていました。

乳業メーカーであるオハヨー乳業にとって、「牛乳」は会社の根幹であるものの、リテール(小売)市場での影響力の低下、宅配チャネルや給食事業の収益構造の改革等、様々な課題を抱えています。70年の歴史の中で、様々な慣習や弊害も生じていました。そこで2023年のユニット体制移行後、牛乳事業の責任者に就任した田村元彦さんは、事業の再構築に着手します。主軸になったのは「人の人生に寄り添う牛乳ブランドを確立する」という田村さん自身の強い思いでした。

「牛乳・乳飲料ユニットへの異動前に担当していたジャージー牛乳プリンの価値を掘り下げる過程で、乳には優れた栄養成分という“機能的価値”だけでなく、母親の愛情や、包み込むような優しさといった“情緒的価値”もあると考えていました。今回、さらに考えを進めて人の人生に思いを巡らせたとき、牛乳は幼児から高齢者まで様々なライフステージで寄り添うことができると確信したのです。なかでも学校給食は、子どもたちが牛乳と接する最初の機会になります。岡山県内の学校給食用牛乳で約7割のシェアを持つオハヨー乳業にとって、学校での取り組みの進化は重要なテーマと考えていました(田村さん)」

そう語る田村さんですが、教育業界は未知の分野です。そこでこれまで培った人脈をたどり、ベネッセコーポレーションで学校向けICTツールの提供を手掛ける担当者と出会います。

家庭用の学習ツール「こどもちゃれんじ」「進研ゼミ」で有名なベネッセは、全国の小中高校で授業に利用するICTツールも提供しています。他方、総合学習の一環で実際の企業や産業を取り上げる学校も増えてきましたが、現場の先生方は非常に多忙であり、授業の準備や資料作りは大きなハードルになっていました。ICTツールの普及活動に取り組む中で、ベネッセはこの課題に着目。新規事業として一般企業の事例をICTツールとして取り込み、使いやすいプログラムとして提供する取り組みがスタートしたばかりだったのも、今回の企画の後押しになったと言います。

「ベネッセ側の担当者は、教育現場の課題を解決できる新規事業として、企業との取り組みが重要だと考えていました。非常に熱い方で、同社の社内コンテストで自ら社長プレゼンを実施し、優秀賞を受賞するほどです。また学校の先生方も非常に熱心で、子どもたちが自ら考えるプロセスを丁寧に支え、導いてくださいました。食育授業として酪農乳業の現場の情報を提供するオハヨー乳業と、それをプログラム化したICTツールを通じて全国の学校に提供するベネッセ、そして実際に授業を行う先生方、全員が初めての取り組みだったにも関わらず成功させることができたのは、関係者が皆、今回の取り組みの意義を感じていたからだと思います(田村さん)」

今回は特定の小学校での発表会でしたが、発表の内容はレベルが高く、今後は岡山県内の学校から参加者を募り、子どもたちとともに酪農乳業の将来を考えるプレゼン大会の開催を目指しているとのこと。事業にかける想いがつながり、さらに広がっていきそうです。

オハヨー乳業
野崎雅徳