「会社」と「社員」がともに成長する組織へ
オハヨー乳業 人事チーム

オハヨー乳業 人事チーム 責任者 千葉 智之
リーダー 谷 峰旭
ユニット体制移行から2年、現状と課題
2023年4月にユニット体制に移行し、まもなく2年が経過するオハヨー乳業。創業の理念に立ち返り、「乳で当たり前をありがとうに変える」を掲げ、各ユニットがそれぞれのテーマに基づき取り組んできた構造改革は、進捗にバラツキはあるものの、着実に成果を生みつつある。
一方で、改革が進んでいない分野もある。そのひとつが「人」に関する課題だ。会社が成長するためには、
・会社全体の意志や目指す姿
・部門(ユニット)の取り組みテーマ
・社員一人ひとりの個人目標
という3つのベクトルを合わせ、その状況を把握し、改善を図る「仕組み(制度)」と「運用(評価)」が不可欠である。しかし、現状はいずれも十分ではなく、個人と会社の成長を後押しするための人事制度の見直しも行われないまま、運用を現場任せにしていた。その結果、あるべき姿と現状のギャップを把握・修正することができず、かえって状況を複雑にしてしまい、何人もの社員にオハヨーを離れる決断をさせてしまった。
創業の理念と現実のギャップ
創業者の野津克已は、創業の理念である「オハヨー精神」において、酪農振興と国民の健康増進に寄与すること、そして常に時代の変化に挑戦する企業を目指すと宣言し、その中で「企業は人なり」として、人物の質と能力が企業の運命を決めると語っている。そして皆が幸せに明るい笑顔で働く会社になることを目指していた。
しかし、現実は理想と乖離していく。大量生産/大量消費の時代に適合するため、多くのメーカーは「モノづくり」の根幹となる「ヒト・モノ・カネ」への投資をコストとみなし、これらのコスト削減を原資にした先のない価格競争に突入していく。一方で、一部のメーカーは将来を見据え、したたかに事業構造の変革を進めており、勝ち組と負け組の差は広がっていた。
かつてのオハヨーが辿ったのは前者の道だった。短期的な業績が重視され、設備投資、商品開発、原材料費、そして人物への投資は先送りされていく。その結果、生産設備の老朽化や商品の弱体化は進み、人物育成や能力開発の機会もなくなってしまった。
HLDGS、カバヤ食品とともに進めた2019年の人事制度改革では、制度自体は整備したものの、「自ら考え行動する人を増やす」という目的の浸透が十分ではなく、さらに社員の役割期待と責任を踏まえた目標設定や評価といった運用もおざなりになっていた。
人事改革の決意と挑戦--何が悪かったのか?
人事チームの責任者となった千葉智之は、部門の長期戦略を考えるため、『私の約束』と向き合い、これまで人事領域で培ってきた20年のキャリアを省みていく。そこで浮かび上がってきたのは、目先の業務対応に追われ、受け身となっていた自らのスタンスだ。
会社を支える人事として、もっと先を見て考えなければいけない。チームの存在目的や、千葉自身の原点に立ち戻り、考え抜いてたどり着いた答えは「社員と会社の方向性が合致し、一人ひとりがやりがいや誇りをもって、いきいきと働くことができる状態。それが会社や個人の成長にもつながっていく。人事の役割は、そんな環境を作ること」。他者や環境など、外部に答えを求めることが多かった千葉にとって、自らの思いを掘り下げてたどり着いたのは、創業者と同じ言葉だった。創業の理念を掲げた克已会長の背中が初めて見えたような気がした。
しかし、目の前の業務に追われる中で、根本的な課題を解決するための戦略を立て、限られたチームメンバーのリソースを配分して実行していくのは難しかった。そこで、まずはボトルネックになっていたリソース不足を解消するため、業務の優先順をゼロベースで見直し、社内外からの人物登用によるチーム編成に着手する。ようやく人事体制を構築できたのは、ユニット制への移行から1年半が経った2024年秋のことだった。
そのタイミングでオハヨーに入社したのが、前職で人事制度の設計・導入を手掛けた経験を持つ谷 峰旭だ。谷の前職は非常に保守的な会社で、与えられた仕事をこなすだけの社員も多かったという。その中で、谷は人事制度の改定とともに等級ごとの役割や求める能力の明文化に着手する。社員は自らの成長にむけたステップが明確になり、自主的に考え行動するメンバーが増えていった。「人事のような間接部門であっても会社の成長に貢献できる」一連の制度改革を通じ、自らの成長や人事という仕事のやりがいを感じていた谷にとって、オハヨーは人事として新たなチャレンジができる魅力的な場所に映ったという。
オハヨー人事が最初に目指すもの
現在、オハヨーの人事チームのメンバーは総勢10名。未経験のメンバーも多いため、既存業務を円滑に進める体制構築といったチームの基盤づくりに着手している。並行して、優先的に取り組んでいるのが経営と現場を繋ぐマネージャーやリーダーの目標設定だ。会社に横串をさす人事部門として、これまでバラバラだった目標設定の水準を合わせるとともに、運用も責任者任せ、現場任せにするのではなく、人事チームも積極的に関与していく。そうして現場のギャップを理解しつつ、より善い状態を目指していく。
大切なのは、仕組みを導入するだけ、目標を設定するだけで終わらせないこと。正しく運用され、実際に機能するよう、人事メンバーが各拠点を訪問し、意見交換やキャリア面談といったポジティブな取り組みも増やしていくつもりだ。
目標設定と評価の運用だけではない。「新卒&中途採用」「教育研修」「制度設計」についても見直しを進めている。それぞれを個別の取り組みで終わらせず、全社視点で相互に連動させる。そうすることで、仕事を通じて個人の能力を開花・成長させ、会社の成長にもつなげていくことを目指している。
これまで実現できなかったことを、自分たちの手でカタチにするーー。
「人事制度は会社から従業員へのメッセージ」と語る千葉と谷の決意は固い。

千葉智之 茨城県生まれ 45歳
新卒で入社し福岡支店で営業として配属、3年目以降一貫して人事職。
「自信がある人もいれば、ない人もいる。器用な人もいれば、不器用な人もいる。どんな人にも善い商品を作るためにできることがある、世の中に貢献できる、と気付いてほしい」

谷峰旭 大阪府生まれ 36歳
高校卒業後事業を興すも、経営者を志してシステム会社、ホームセンターチェーンで勤め、2024年10月オハヨー乳業へ入社。
「自分で存在価値や役割を考える主体性を持った人材が増えれば会社もきっと成長する。オハヨー乳業をそんな会社にしたい。浸透に時間がかかってもやり遂げたい」

