オハヨー乳業 BRULEE開発秘話
人と人をつなぐ強い意志
「心動かす力」でブランド戦略推進

発売から7年。オハヨー乳業の看板商品として成長を続けるプレミアムアイス「BRULEE」。開発スタートから現在に至るまでに関わった人々は、その価値を信じ、守るという想いでつながっている。必ずやり遂げるという強い意志が社内の多くの人のつながりを生み、愛される商品となったBRULEEが、この先に築いていくブランド価値とは――。開発から現在まで携わってきたメンバーに想いを語ってもらった。
執行役員 研究開発統括 三宅 俊夫
デザート・フローズンユニット 責任者 大塚 昌宏
SEJソリューションユニット 責任者 高野 善夫
デザート・フローズンユニット マネージャー 藤澤 裕樹
デザート・フローズンユニット リーダー 中谷 佳純
価値を信じる気持ちが原動力
BRULEEの開発は、その前身と位置付けられる「焼アイスを復活させる」という、一人の若手開発者(現在は退職)の強い想いから始まった。当時、企画開発部研究室の室長だった三宅がその意志を受け止め、後任の開発担当に抜てきされた藤澤へとバトンがつながれた。
三宅 焼アイスの改良に携わり、その難しさを間近に見ていたため、内心では「できないだろう」と思っていました。ですが、何度失敗してもあきらめない熱意と、自分とは全く異なる視点に可能性を感じ、知らず知らずのうちに「何とか成功させたい」と考えに変化が起こりました。
最大の課題は時間が経つと表面がべちゃべちゃになってしまうということ。試行錯誤を繰り返す中で、アイスと焼き目の間に入れていたホイップの水分が原因だと分かり、代わりに水分を含まない油脂でできたチョコレートを入れることで、パリッとしたキャラメリゼの食感を長期間保つことに成功したのです。
何度失敗してもあきらめたくなかったのは、商品価値に自信があったからです。「アイスを焼く」という大胆な発想は面白いと感じていましたし、クレームブリュレの人気が定着しているアメリカまで足を運んだこともありましたが、「自分たちが作っているものの方が、海外の専門店にあるクレームブリュレより味も見た目も良い」と確信を持ちました。
藤澤 三宅さんたちの異動のタイミングで開発を引き継いだのですが、きれいな焼き目を機械に落とし込むことに苦労しました。均一に焼き目をつけながらも、アイスを溶かさないように細かく調整しながら試作を重ね、うまくできたと思っても、いざ工場で機械に落とし込むとなると全くうまくいかなくて…。
自分の経験不足もあり、当時は工場との連携も十分とはいえず、データの示し方も分からない、伝えたいことが伝えられないというもどかしさがありました。それでも心が折れずに続けられたのは、他社にはない独自性があり、消費者にとっても価値のある商品だと信じていたのはもちろんですが、開発を任せてもらったことに対し「何としても責任を果たしたい、期待に応えたい」という強い想いがありました。携わってきた人たちの熱意ももちろん知っていましたし、工場から厳しい意見をもらっても、自分なりにデータの示し方や伝え方を工夫し続けました。一生懸命な想いが伝わったのか、少しずつ全員が同じ方向を向き、前へ進むようになりました。
異例の高価格
発売にあたっては、アイス業界では珍しく「絶対に値下げしない」と決めた。開発と営業の間では対立もあったが、価格を守り続けることができたのは全員が「価値」を見出していたからにほかならないだろう。
三宅 商品価値を守るため、「絶対に値下げしないでほしい」と伝えました。当然のように営業は大反対。それでも何とか説得して発売すると、斬新さが受けてすぐに欠品してしまいました。そこで生産体制を整えて半年後に販売を再開したところ、今度は以前のようには売れなくなりました。「値段が高いからダメなのか」と少し自信を無くしましたね。それでも値下げせずに続けてこられたのは、「価値を守る」という想いを一貫して共有できたからだと思っています。
高野 私は、独自性のある商品が出てきたことに「オハヨーってやるな!」と感じていました。その価値を伝えるために、アイス売場の常識の一律値下げに対応せずに、店頭に並べ続けるという挑戦にはやりがいがありましたね。販売再開後は販売が伸びず、値下げしようという声も正直ありましたが、他のメーカーにまねのできない商品が秘めた可能性は皆が感じていたので、「ちゃんと売ろう」と一つになって粘り強く営業することができました。
「絶対に価値を守る」焼プリンの反省
「価値を守る」ことに対する強い決意は、過去、価格競争に走ったことで自ら価値を下げてしまった焼プリンでの苦い経験があった。だからこそ、「消費者へ価値を伝えることが商品に対する評価を高め、それがブランド構築につながる」という想いを全員が強く意識した。
高野 ひたすら前年売り上げを超えるという姿勢から、長期的に商品を育成することへの自分の営業としての意識も変わりました。価格ではなく、「商品の価値」で売っていくという想いは全員強かったですね。
大塚 焼プリンの失敗を繰り返さないためにも、マーケティング担当として、価値を守り続け、ブランド育成につなげることを重視しています。プレミアムアイスにも安売りが求められる中でブレなかったことが、今成果となって表れてきています。
中谷 前職でもマーケティングに関わってきましたが、アイスのように低価格で購買頻度の高い商品はどうしても価格勝負になることが多いと感じます。ここまで高価格を維持したまま、価値をしっかりお客様に届けて、買っていただくというのは、なかなかできないことだと感じています。

ブランド戦略に懸ける想い
オハヨーの看板商品として成長し続けるBRULEE。ブランド戦略では、その「人の心を動かす力」に注目しており、言語化することで価値を伝え、消費者とより深く「心でつながる」ことが狙いだ。
大塚 ブランド価値を高めるため、BRULEEとはどういう存在なのか、全員が同じ言葉で語れる状態にしなければいけないと思っています。そのために、味だけではなく見た目、音、香り、食感といった五感に訴える美味しさによって、生活者の第六感である「心」をどう動かすかを明確にしたいですね。
中谷 マーケティング担当の立場からは、「パリパリ」とか「美味しい」というだけではなく、情緒的な価値を伝え、生活者と「心でつながる」ことに取り組んでいきます。今春入社するまで一ファンだった自分自身の経験からも、食べている人だけでなく、その空間自体を幸せなものにしてくれる力がある商品だと思っているので、私たちから「BRULEEを食べると、こういう気持ちになりますよ」と提案していけたらと思っています。
BRULEEを通して得た自身の成長
開発、営業、マーケティング、それぞれの立場で感じた自分自身の成長。人の成長がBRULEEの商品としての成長にもつながっている。
三宅 先を見据える意識を学びました。ヒット商品を生み出すために、一生懸命面白いものを作ろうと思ってきましたが、「面白いだけではいけない、長く続くものが本当のヒット商品だ」と気付きました。今では、開発者にとって一番大事なのは、やみくもに新商品を作るのではなく、一つの商品を究めていくことだと思っています。
大塚 BRULEEはグループの掲げる「1ライン1商品、1商品売上高100億円×営業利益率15%以上」の達成が目標です。私自身、初めはできるのかと不安に思うこともありましたが、海外からの反響や、直接お客様のリアクションを見て、今は「確実にやれる、やり切ろう」という意識が一層強まりました。
高野 以前よりも忍耐強くなったと思っています。一つの商品を長いスパンでどう成長させようかと、自分の中で作戦を立てて粘り強く交渉するようになったことが、自分の成長したところです。
藤澤 人とつながることで、全員が同じ目標に向かって動きだすという経験をさせてもらいました。人とのつながりで新しいものを生み出せると学び、「働くってしんどいけど楽しいこともある」と思うきっかけにもなりました。
中谷 オハヨー乳業に入社してから、開発や営業の話を聞いて本当に感動しました。皆の思い入れがとても強い商品であると感じるのと同時に、マーケティング担当としての責任の重さも感じています。これからBRULEEを広めるために、たくさんの人と関わる中で、人としてもオハヨーの社員としても成長したいと思います。
関わる全員がその価値を信じる気持ちでつながっていたからこそ、今のBRULEEがある。過去から現在、そして未来へ向けてもその熱い想いでつながることで、ブランド価値を高めていく。
私の考える「BRULEEの価値」

何度でも、食べるたび幸せな気持ちになれる
何度でも幸せな気持ちになってもらうために、より善いものを作り続けることが大切だと考えます。そういった「オハヨーのモノづくり」の象徴となる商品になってほしいです。
三宅 俊夫
執行役員 研究開発統括
(1995年入社)

BRULEEは人の心を動かす
食べる人をワクワクさせ、世界を明るくする、そしてオハヨーも「世界を明るくする会社」と思われるきっかけとなる商品にしたいですね。
大塚 昌宏
デザート・フローズンユニット 責任者
(2000年入社)

全員の想いがひとつにつながるきっかけ
働きながら、BRULEEに対する皆の想いの強さを感じています。全社一丸となって育てていくといった商品がこれまでなかったので、全員でBRULEEを育てながら皆にとって「オハヨーといえば」という商品にしたいです。
高野 善夫
SEJソリューションユニット 責任者
(2003年入社)

人とのつながりを築く
「オハヨーといえばBRULEE」というイメージを築き上げ、自らBRULEEに関わりたいと感じる社員を増やし、さらに多くの人のつながりも築きたいです。
藤澤 裕樹
デザート・フローズンユニット マネージャー
(2008年入社)

多くの人に感動をもたらす
私がBRULEEを初めて食べた時の感動をもっと多くの人に感じていただき、「オハヨーといえばBRULEE」を確立したいです。
中谷 佳純
デザート・フローズンユニット リーダー
(2024年入社)