「明言」避け個人の成長促す
悩み苦しんだ経験伝えたい

ライフデザイン・カバヤ
倉敷エリア長
ハウジングモール倉敷展示場 店長
友杉金作

競争の激しいハウスメーカー業界にあって、躍進を続けるライフデザイン・カバヤ。成長を可能にする人物育成のポイントはどこにあるのか。倉敷エリア長の友杉金作に、入社からの歩みとともに、自身の成長のきっかけ、チームをマネジメントする上で心掛けていることについて聞いた。

総社市出身の友杉は現在39歳。大学時代を大阪で過ごし、Uターン就職を考える中で「住宅メーカーは自分の携わった仕事が地図に残る。厳しい業界だからこそ、3年頑張れたらどんな業界に転職することがあっても通用するだろう」と2005年、ライフデザイン・カバヤに入社した。

順風満帆とは言えない若手時代

倉敷エリア長として30人以上の部下を持つ立場となった友杉だが、営業マンとしての滑り出しは決して「順風満帆」ではなかった。「家は売れないし、休日も仕事のことで頭はいっぱいで何をしても楽しくない。『営業職を選んだのが間違いだったのか』と自問自答する日が続いた」という。

入社2年目を迎えても状況は変わらず、1棟も売れない状態が5カ月続いた。当時常務だった石本隆(現副社長)がチームミーティングに加わり、「今月売れなければ他部署に異動になるかも」と通告された。その時の心境について、友杉は「元々話すことが苦手で人にも興味がない。でも会社は嫌いじゃないので異動もありかな」という想いが心をよぎったが、一方では「営業が駄目だった、というレッテルは張られたくないという“小さなプライド”もあった」と当時の心境を振り返る。

結局、石本らのサポートで成約を獲得し異動は免れたが、苦手意識は払しょくできず「本当に続けられるのかという気持ちと、忙しい中で力を貸してくれた上司に対しすぐに辞めては申し訳ない気持ちとが半々」。さらに2~3年は悶々とした日々を過ごしたが、商談成立時に直属の上司から「この1棟はお前の力で取れた。おめでとう」と声を掛けられるなど、成功体験を積み重ねることで徐々に考え方がポジティブになった。また、30歳で家を建て、ローンを組んだことで逃げ道はなくなり、仕事と100%向き合う覚悟が決まった。

「今にして思えば本当に気持ちの問題。自分の“やる気スイッチ”が入ったと言うしかない」と友杉。自ら目標を立て、それをクリアするために行動するようになったし、以前は聞き役に徹していた会議の席上も「上司や先輩であっても、会社が良くなると思うことは必ず言うようになった」。結果も付いてくるようになるとそれを検証し、受注率などの数値を自分なりに分析して成果につなげる好循環が生まれ、2016年には総社展示場の店長に就任した。

店長就任で再び壁にぶち当たる

ようやく軌道に乗ったかに見えたサラリーマン人生だったが、ここで再び大きな壁にぶつかる。当時、展示場には2人の部下がいたが、1人は新人。もう1人は家庭の都合で退職を余儀なくされそうな事情を抱えており、展示場の成績を1人で背負うことに。1年間必死で働き、入社以来最高の成績をたたき出したのだが、余裕のなさから自分を見失い、周りに目を配ることもできなくなってしまった。外回りを終えて事務所に帰るとほとんどしゃべらず、部下が相談するとキレ気味に返事して要点だけ返すというありさまで、気付けば展示場の雰囲気は最悪だった。

会議で「利益200%達成」と報告すると上司からはほめられたものの「チームでやるべき仕事を1人でやってしまうのが、あるべき姿なのか」と自分のスタイル、展示場の状況に疑問がわいた。改めて考えると、新人だった部下も1年で成長していたものの「本来なら10成長できるところを4~5止まりなのではないか。それは自分の指導力のなさによるもので、そもそも指導すらしていない」。入社以来最も頑張った1年は、実は最も“頑張り方を間違えた”1年だったことにようやく気付いた。

そこから仕事に対する向き合い方は大きく変わった。まず心掛けたのが部下に興味を持ち、声を掛けることにした。高校時代に野球部で汗を流し、「チーム」というものへの意識は人一倍あったこともあり、それまで「俺に話しかけるなオーラ」全開だった男が「あえて隙をつくる」ことでチームカラーの変革を目指した。

1人ひとりをよく観察する

また、部下に対しては「1人ひとりをよく観察し、長所を伸ばす」のが基本。判断する際は第三者の意見にとらわれず、必ず自分の眼で判断するし、指導にあたっては「すぐに答えをもらって成功しても次にはつながらない」と、ヒントを与える程度にとどめる。なかなか成績の上がらない部下に対しても結果だけを求めることはせず、「悩むことは将来必ずプラスになる」と精神的ストレスの状況などはしっかり見守りながら成長を促すスタイルで、今では展示場メンバーから“明言避け系”としてすっかり定着。2020年度にはライフデザイン・カバヤ展示場部門で第1位に輝いた。

管理職としての階段を1つ上がった今でも時折、言葉や態度に昔の悪い癖が出ることがあるそうだが、そんな時は肩書や年齢は関係なく、周囲から「顔に出ています」「さっきの言い方は違うと思います」と容赦ない指摘が飛び交い、これを友杉も「ごめん」と素直に受け止める。できそうでできないこうしたやり取りは信頼関係の何よりの証であり、「今の自分があるのは上司やメンバーのおかげ」という言葉は、決して謙遜によるものではないだろう。

「自分は優秀なセールスマンではなかったからこそ売れない人の気持ちは良く分かる。悩み、苦しんでいた時にしてもらったことを、今度は自分が部下にしてやらないといけない」と強く意識し、1人のトップセールスマンより「80点の営業マン」をたくさん育てることで、「朝起きたら行きたくなる会社」の実現を目指すという。

これまで懸命に働いてきた原動力は、苦しかった時代に支えてくれた上司らへの「恩返し」の部分が大きかったが、これからは「自分のやりたいこともしつつ、それで成果を出すことで恩返ししたい」と考えているそうで、「営業とスタッフ一丸で1つの目標・目的に向かう、“みんなが主役”のチームを作っていきたい」と夢を語る。

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